アメリカの子供のスポーツ事情~文武両道があたり前~

我が家が、アメリカそれも気候の良いカリフォルニアに移り住んだ理由の一つが、子供のスポーツ事情です。

私は女子にもかかわらず少年野球を6年生まで続けたのですが、その経験が出来て本当に良かったと思っています。冬の厳しい練習や試合での緊張、うまくなりたいという思い、勝った喜び、スポーツを通して経験したことがその後の人生にも確実に役立っています。40代になった今でもスポーツ好きは変わらず、息子と野球やテニスの練習をしたり、スイミングやセーリングなど、色々なスポーツを楽しんでいます。時間が許せば本当はずっとスポーツをしていたい(笑)。

だからこそ、息子にもスポーツを大いに楽しんで欲しい、でも文武両道で!と思っていました。

そんな中、アメリカでは文武両道が当たり前らしい、スポーツ推薦で大学に行きたくても学業が一定レベルにないと入れない(=スポーツだけはNG)、逆に学業第一でいくにも学業成績だけではダメでスポーツの実績や課外活動の実績が評価されるらしい、と知って「アメリカ、いいじゃな~い?!」と思ったのです。

そして実際にアメリカに住んでみたら・・・

想像以上にスポーツ環境が整っていました。

日米でどんな風に違うのか?

大好きな野球を例に、アメリカの子供のスポーツ事情をまとめました。

スポーツのシーズン制と補欠のいないチーム編成

アメリカでは「子供がスポーツを楽しむ」ための工夫が随所になされています。

その最たるものが「スポーツのシーズン制」

子供のうちに様々なスポーツを経験して、その中から自分にあったスポーツを見つけられるように、シーズン制でスポーツが行われています。息子のアメリカの同級生に「何のスポーツをやってるの?」と聞くと、「野球とサッカーとアメフト」なんて答えが返ってきた時はびっくりしました。どうやって3つも掛け持ちするんだろう??と。でも何のことはない、春は野球、秋にアメフト、サッカーは去年の秋にやって好きだからまた次のシーズンやるんだよ、とそういう感じです。日本では基本的にスポーツは通年なので、3つやろうにもかなり無理がありますよね。

そして、小さな頃から多少下手でもスポーツを楽しめるようなルールが設けられています。

野球を例にとると、野球のスタートはなんと4歳からのTボール(ティーボール)。ピッチャーは投げられないし、投げられたボールは打てないし…そんな年齢の子でも楽しめるように、ティーに置いたボールを打つティーボールというルールで試合をします。この年齢の子供たちがぶかぶかのユニフォームを着て試合をするんですから…それはもう「かわいい!」の一言です。間違えて3塁方向に走っちゃったり、草むしりを始めちゃったり、ハプニング続きで見ている親も大盛り上がり。

こうして楽しみながら野球のルールを覚えていき、5歳ぐらいになるとマシーンの投げるゆるいボールを打つようになり、6・7歳ぐらいになって初めて子供がピッチャーをするという、段階を踏んだルールになっているのです。

野球のシーズンは春。

春になると地域のリーグが「選手募集」を始めます。やりたい子供達はトライアウトを受けて、コーチが選手をドラフトして自分のチームを編成します。

ここでこれまた日本との大きな違いが「補欠のいないチーム編成」です。

例えばうちの近所のリーグ、今年息子の年代は70名ほどがトライアウトに来ました。1チーム12名程度になるように6チーム数が編成され、全員が試合に出られるようにします。

どのチームにも完全な「補欠」はいません。ポジションは9個しかないので交代交代ですが、打席には全員立ちます。3カ月のシーズン中に試合は週1~2回のペースで組まれますから、下手な子でもたくさん試合経験が出来るのです。

逆に、上手な子には次のステップが用意されています。3カ月後のシーズン終了時に上手な子を選抜したオールスターチームを編成するのです。そして他の地域代表のオールスターチームと試合を繰り広げます。うまい子もそうでない子もそれぞれに楽しめるような素晴らしい工夫ですよね。

そしてそのオールスターチームも夏前半には終了。夏休みを満喫して、次はバスケやアメフトのシーズンが始まる、というわけです。

では、野球をずっとやりたいという子はどうするのか?

そういう子には年間通してやる「トラベルチーム」が用意されています。その名の通り色々な場所で開催されるトーナメントに出向いて行って試合をするチームです。

ここは実力主義なので、トライアウトに受かってチームに入れても試合に出られないこともあり得ます。それでも1チームは12名程度、バッティングは全員出来るのが普通です。

アメリカでは下手だと「部活」に入れない?!

こうして実力を磨いていった先にあるのが「高校のトライアウト」です。

アメリカの高校の野球チームは、バーシティ(1軍)、ジュニアバーシティ(2軍)、フレッシュマン(1年生)のチームに分けれていて、ここでも各チームに適正な人数しかプレイヤーを取りません。入部テストをパスしないとチームに入れないのです。最初これを知った時はびっくりしたのですが、今では非常に理にかなっていると感じています。

日本の高校野球のように部員が100名もいて「3年間ずっとベンチで声出しだけ」などということは起きないわけです。「声出しでチームに貢献する」という美徳が日本では語られますが、本当にそれでその子は野球を楽しめたのか…疑問が残ると思います。道具磨きだけ、トンボかけだけ、声出しだけ…何もそんなにスポーツを「苦行」にしなくても…と思ってしまいます。

アメリカの場合、レギュラー9人、補欠90人なんてことはあり得ません。トライアウトで1軍にも2軍にも入れないなら残念ながら適性がなかったと思って、もっと自分に適したスポーツや別の事に可能性を探るきっかけになるわけです。一見厳しいような「トライアウトでの選抜」も理にかなっていると思います。

子供の体を守るしくみ

日本では高校野球のピッチャーの球数制限が論じられていますが、アメリカでは小さな頃から厳しい球数制限があり、試合のたびにコーチや親が投球数のカウントを行います。たいていは2~3イニング投げたら交代するのが普通なので、1試合に3人ぐらいは投げます。そして中休みの日数も決まっているので、試合日程が詰まっているとチームに何人もピッチャーが必要になります。

ピッチャーの肩や肘の故障予防が目的ですが、色々な子がピッチャーを経験できるというもう一つのメリットもあります。

やはり花形ポジションのピッチャー。誰もがやってみたいと思うものの、日本ではエースピッチャーかリリーフピッチャーでないとピッチャー経験ができません。でもアメリカでは多くの子がピッチャーを経験できるのです。自分の息子がマウンドに上がるのを親も楽しみにしていますしね。

でも、ここで投球制限について気を付けなければいけないことが1つ。

アメリカではチームの掛け持ちがありえます。地元リーグのチームに入りながら、年間通してやるトラベルチームにも入っている場合、投球制限はチーム横断的には管理されません。うちの息子は今シーズン地元リーグに加えて、トラベルチームでも臨時プレイヤー(人数が足りない時だけ)としてプレイしています。息子は左利きなのでレフティーピッチャーとして投げる機会が多く、親がチーム横断的に投球数を管理しないと投げすぎになってしまいます。しかもトラベルチームが出るトーナメントは投球制限が緩いことが多いようです。

実は先日トラベルチームの試合に出た時、先発ピッチャーとしてマウンドにあがり、調子が良く三振の山を築いていった息子。気づけば6イニング目に入っていました。投球制限があるから上限に達したら代わるだろうと私は思っていたのですが、その上限が1日6イニングまでという緩さだと後で知りました。翌日息子が「ちょっと腕が痛い」と…。肘や肩の痛みではなく筋肉痛の様相だったのですが、いやはや子供の未完成な体に重い硬球ですから、やはりしっかり親が気を付けないと…と反省しました。

「うちの子には2イニング以上投げさせないでくれ」とコーチに事前に伝えている親もいます。

チームとしての連携は…

チームの掛け持ちがあり得るという話をしましたが、それゆえチームとしての連携は弱く、個人技の要素が強いです。

イチロー選手も引退会見で触れていましたが、チームとしての連係プレーのレベルは日本の方が断然上です。

チーム練習はせいぜい平日に1時間から1時間半程度、週末は試合の1時間前に集合してウォーミングアップをする程度です。日本のリトルリーグなんて週末6時間以上練習するところもあるようですから大きな違いですね。

そもそも守備の連係プレーというか、守備自体をあまり重要視していない印象があります。その代わりに「何はともあれバッティング!」という感じです。

バッティング練習に関しては小学生のうちからプライベートレッスンを取ったりして力を入れます。守らせたら頼りないのにバッティングはピカ一、という子がゴロゴロいます。体も大きいのでこれがまた本当によく飛ぶんです。

ちなみに、チームの掛け持ちをするので、ユニフォームが何種類も家にあります。ローカルリーグは毎年違うチームになりますし(去年はカブズ、今年はマリナーズ etc)、オールスターに選ばれればオールスターのユニフォーム、トラベルチームには2種類ユニフォームがありますし、助っ人で別のチームから呼ばれたりする時はユニフォームを借りてプレイしたりもします。ユニフォームの数だけ思い出もたまっていきます。

そして、このチームの掛け持ちが子供に良い影響があります。

友達作りが上手になるのです。

試合前のウオーミングアップで初めての子ともすぐに仲良くなり、試合が終わってみんなで楽しそうに遊んだり、いろいろなプレースタイルのコーチにも出会えますし、チームメイトが入っている別のチームの欠員時に呼ばれたり、どんどん友達の輪が広がっていきます。

日本人としては、そうやって友達を増やしていく良い機会ですし、英語もばっちり学べます♪

野球大国アメリカ、環境も抜群

施設面でもアメリカは子供達が恵まれているな~と感じます。

小学生ながらこんな素晴らしい球場で試合ができちゃうんです。日本では考えられません。

ナイター設備まであって、さながら大リーグのようじゃありませんか!

私が日本で子供のころ入っていたのは、地元の少年野球チーム。練習は近所の公園(野球グラウンドは特にない)、試合は小学校の校庭のこともしばしば。

息子に「ママは小学校の校庭で試合をしてたんだよ」と話しても、嘘つき呼ばわりされるのですが・・・本当です。

こんな素晴らしい球場、大きな大会の決勝戦でやっと使えるかどうかでしたよ。

しかもこういう球場、バックネット裏でビールが飲めるという大人にもうれしいおまけつき(笑)!

親は子供の試合を見ながらビールを飲み、コーチは試合と試合の合間にビールを飲む。

決して野球が「鍛錬の場」ではなく、楽しもうという環境が揃っているのです。

勉強もやりながらスポーツも楽しめそう、そんな印象でやって来たアメリカ。

野球に限らず、テニスコートやバスケコートはそこら中で使いたい放題、練習の後はビーチで遊んだりプールに飛び込んだり。

想像以上の素晴らしい環境の中、子供はスポーツを楽しんでいます。

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