高校留学について知る
なぜ高校からの留学なのか?
将来、海外の大学に進学して世界で通用する学力をつけたいと考える学生は多いと思います。そしてそのための準備として、高校から海外に留学できないかと模索するご家庭も増えてきていることと思います。文科省は高校留学生を12万人に増やすことをめざしています。全国で高校生の数はおよそ300万人ですので、約4~5%が留学する時代になるかもしれません。5%と言えば20人に1人、かなり身近な数字ではないでしょうか。
高校生ともなれば、親と過ごすより友達と過ごす時間が多くなり、その中で人生の機微に触れて物事の多くを学んでいく時期です。ご自身の高校時代を振り返ってみても、親御さんより友達から学んだ事の方が多かったのではないでしょうか?高校から留学するということは、この多感な10代前半に、友達とお互いを支え合いながら自立することを学び、学業や課外活動を通じて家庭では与えられない貴重な学びが出来るという事です。今や小中学生からしっかりと自立し留学するお子様もいらっしゃいます。
さて、高校留学をはじめとする留学の目的を「英語の習得」とする方が多いと思いますが、留学の魅力はそれだけにとどまりません。以下にまとめてみましょう。
魅力その1 大きく広がる将来の可能性
- 海外大学の進学準備
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高校留学を通して英語力をつけ、その後の海外大学の進学準備をするという可能性がまず一つあります。大学はぜひ海外に、と考えていても、英語力がおぼつかない状態では合格を勝ち取るのはなかなか難しいですし、たとえ入学できたとしてもその後の大学生活の充実度に大きく影響してきます。英語がネックとなり学業のみならず交友関係でもかなり苦労を強いられることになります。努力でこの時期を乗り超えネイティブ並みの英語力を大学時代に習得する学生もいますが、できればスタート時点で苦労しないように準備が出来るならしておきたいところです。また、留学先の高校の進学カウンセラーは進学アドバイスのプロですので、海外大学進学への可能性をさらに高めてくれます。
- 就職先の選択肢
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海外の大学に進学したとして、その先はどういうプランでしょうか。その国で働くには就労ビザが必要ですので、ビザをサポートしてくれる会社を探すのが一つ。それがかなわなかった、または日本で働きたいと考えた時に、培った英語力は強力な武器となります。しかし、留学生の武器はそれだけではありません。下記の通り、会社の人事が留学生に期待している能力は語学力のみならず、チャレンジ精神、コミュニケーション能力など多岐にわたっており、こうした能力を留学から得られたと留学生は答えています。ビジネスをする上でこうした能力が非常に重要だということは、社会人経験を通して親御さんも十分感じていることと思います。一方、日本の大学を卒業した新卒者にこうした能力が身についているかというと、なかなか難しいのではないでしょうか。
<出典>文科省のトビタテ留学JAPAN「留学生の就活とキャリアのリアル」
魅力その2 全人教育によって磨かれる人間性
高校留学(ボーディングスクール)の一番の魅力は、「全人教育」にあると考えます。修士号や博士号を持った先生による少人数制の授業で学力を伸ばすことはいわずもがな、スポーツや音楽・芸術を通じた課外活動でリーダーシップ、コミュニケーション能力、クリティカルシンキングスキルを磨き、ボランティア活動等を通じて社会貢献をする意義を学び、将来世の中を牽引できる人材を育てます。これが、アメリカ国内のみならず世界何十か国からも多数の応募者を惹きつけているボーディングスクールの魅力です。ご存知の通り、アメリカの大学の審査基準は学力だけではありません。なぜなら、社会的に成功するために、また、世の中を牽引する人材になるために、学力は必要な能力の1つでしかないからです。残念ながら日本の教育はまだまだ学力偏重で、学力だけを物差しにしてきた結果、社会に出てはじめてさまざまな能力が不足していることに気づかされるのが現状です。多感な十代前半にボーディングスクールに留学し、この全人教育に触れることで、お子さんの人生観はずいぶんと好転するはずです。学生生活すべてがその能力向上に注がれる環境は、やはりボーディングスクールでしか手に入らないものでしょう。
ボーディングスクールには世界中から学生が集まってきます。アメリカの超名門ボーディングスクールの一つ、フィリップスアカデミーには、なんと世界49ヵ国から学生が集まってくるのです。超名門校ですから、同じクラスのあの子が実はどこどこの国の王子だった、隣のクラスのあの子はものすごい苦労人で努力家だ、なんて話は枚挙にいとまがないでしょう。こうした様々な家庭で育ってきた10代の子供たちが、同じ屋根の下で家族のように過ごします。通常の同級生以上の友情関係が育まれるのも自然なことです。そして、それぞれが別の世界へ旅立ち、社会を牽引していくのです。200年以上の伝統の中で、先輩も後輩もそれはそれはたくさんできる事でしょう。日本語の「コネ」というとネガティブな響きがありますが、Connection は大切なものです。仲間の力になってあげたいと思うのは人の常。「テンスクール」と言われるアメリカの超名門ボーディングスクール群10校のうち、寄付金貯蓄額 (endowment) が一番多いところでなんと$1.5 billion 社会で成功した卒業生が母校・後輩のためにと寄付した額です。在校生徒数一人当たりで$1.4 millionです。こうした資金が授業料のファイナンシャルエイドの原資となり、授業料を払えなくとも優秀な学生を世界中から呼び寄せています。アメリカの大学入試では、ファイナンシャルエイドが必要か否かが合否に影響しますが、トップボーディングスクールではそうではありません。入学審査時に家庭の財政状況は一切考慮しません。なぜなら、合格者全員に必要な財政援助を与える原資があるからです。またこの資金をもとに、最新のアスレチック施設、芸術ホールなどを新設しています。また、今後自分が何かビジネスを始めたい時、社会的に成功している先輩や仲間がきっと力になってくれるでしょうし、転職したい時などにも助けてくれるでしょう。こうした人脈はそのコミュニティに属し年月をかけてしか手に入れることができません。
ボーディングスクールに合格すると、
Welcome to 〇〇 community!
というお祝いの言葉が合格レターによく書かれています。あなたを私たちの大切なコミュニティの一員としてお迎えします、といううれしい言葉ですね。
大きく広がる将来の可能性
全人教育によって磨かれる人間性
世界的な人脈
「留学」というと、語学力をつける事を目的にすると思いますが、それだけにとどまらない数々のメリットがある事をぜひ理解していただきたいと思います。
高校留学をめざすには
では、高校留学をめざしたい!となった場合、どのような道があるのでしょうか?
現在インターナショナルスクールに通っていて英語力がついている場合、ボーディングスクールは射程圏内の目標でしょう。英語教育に強い公・私立中学、または独自で英語学習を進めている場合も、ボーディングスクールをめざして効果的な学習を進めていきたいところです。英語面で自信がない場合は、まずはサマーなどの短期留学のステップを踏み、英語力の底上げと本格留学に向けた学習計画を立てましょう。
一口にボーディングスクールといっても、種類は様々です。アメリカの高校は9年生からスタートしますので、9年生または10年生、年齢で言えば14,5歳での入学をめざすのが一般的です。
種類やレベルも豊富ですので一概にランキングはつけられませんが、「テンスクール」と呼ばれる超名門ボーディングスクール10校が最難関レベルと言えます。トップ校の合格率は10数パーセントですので狭き門です。もちろん英語がネイティブの生徒が多数応募します。しかし前述の通り学力だけを判断基準にはしていないので、英語力が劣っていてもその他の能力に秀でた学生や今後の成長が見込める学生は十分チャンスがあります。国籍のみならず「多様性に富んだ学生層」を構成することを学校側は望むので、判断基準も一通りではありません。
最難関と言われるテンスクールとはどのような学校なのでしょうか?
次は、受験プロセスについて具体的に見ていきましょう。