受験対策をする

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受験対策をする

前述のボーディングスクール「2. 受験プロセスを知る」の中で説明した通り、テストは主に大きく2種類あります。国外生向けの英語力テスト(TOEFL iBT, IELTS, etc) SSATやISEEなどの学力テストです。学力テストは任意もしくは不要の学校ももちろんあります。詳細は各学校のウェブサイトのAdmissionページでご確認いただきたいのですが、この2種類のテストについて下記に説明していきます。

TOEFL iBTのテスト内容とは?

TOEFL iBTは、Test of English as a Foreign Language Internet-Based Testの略で、米国のEducational Testing Serviceが開発したテストです。英検やTOEICと異なり、学生生活を送る際に必要な技能に注力しているので、ボーディングスクールや大学などに進学する際に英語力の証明としてスコア提出を要することが多くあります。テスト内容を見てみると、実際にこういう表現はよく使われているな、これが聞き取れないと授業についていけないだろうな、と感じます。アメリカで開発されたテストなので、実践そのものです。

TOEFL iBTの試験内容

2023年7月から、テスト時間が約3時間から2時間に短縮されました。

TOEFL試験内容問題数予想時間配点
リーディングパッセージ2つ(各10問)35分30点
リスニング講義形式3つ(各6問)
会話形式2つ(各5問)
36分30点
スピーキング自分の意見や趣向を表現するもの1つ
リーディング・リスニングに基づき回答するもの1つ
レスポンスを30秒で用意し1分で述べるもの1つ
16分30点
ライティングリーディング・リスニングに基づき回答を作成するもの1つ
自分の意見を表明するもの1つ
29分30点

ボーディングスクール受験において、TOEFLは非英語圏の生徒が英語力を証明するためのものです。点数そのもので競うといわけではなく、授業についていけるだけの英語力があることを示すものである点を理解する必要があります。学校ごとに目安(参考)スコアがウェブサイトに記載されていることもありますが、それに達しないからといって出願条件を満たさない、ということではありません。スコアが多少不足していてもそれを補うポテンシャルがあるかどうかです。

目安スコアに近づく努力はするものの、出願までにスコアが芳しくなかった場合・・・どうしますか?あきらめますか?

出願締め切り日が1月中旬、合格発表が3月上旬だとして、その間2か月弱もありますね。その間も引き続き努力をしてスコアアップを目指し、出願後であっても最新スコアを提出するという手もあります。受け取ってくれるかどうかは学校次第ですが、トライしてみる価値は十分あります。そうした努力の姿勢や熱意を好意的に認めてくれることも多々あります。すべての点について言える事ですが、基準が一律ではないということは、自分なりの道を模索できるということです。そうしたユニークネス、独自性は評価の対象です同様に、合格発表で「ウェイトリスト(補欠)」になったとしましょう。空きが出たと連絡が来るまでただ待っていますか?追加で資料を受け取ってもらえるかアドミッションの人に聞いてみますか?自分が出来る最大限の努力をすること、自分からアクションを起こすこと、その姿勢がカギです。

まずは、今日から具体的にTOEFL対策に取り掛かりましょう。オンライン家庭教師スタディバディは、在米・帰国子女の講師による完全個別指導ですのでお勧めです。

SSATのテスト内容とは?

SSATは Secondary School Admission Testの略で、エレメンタリーレベル、ミドルレベル、アッパーレベルの3段階あります。9年生(アメリカ高校1年)での入学を希望する場合、8年生の8月以降にアッパーレベルの受験が必要です。それより下の学年でジュニアボーディングスクール等に入学したい場合は指定レベルのものを受験してください。基本的にはテスト登録時に自分の学年をインプットすると適したレベルが自動で割り振られます。

Elementary Levelグレード3,4
Middle Levelグレード5,6,7
Upper Levelグレード8~11

SSAT試験内容

SSAT試験内容問題数時間
Writing
2つの題目から好きな方を1つ選んで書きます。採点はされません。
125分
Quantitative(算数)
下記の算数パートと合わせてMathのスコアとして計算されます。Algebra, Date analysis, Probability, Geometry, Measurement, Numbers & Operations が主な範囲です。
2530分
Reading(英文読解)
英文読解です。主題は何か、推察されることは何か、など選択肢から正しいものを選びます。
4040分
Verbal(語彙)
類義語や対義語を選択肢から選びます。
6030分
Quantitative(算数)
同上
2530分
Experimental
テスト機関が今後の参考にするためのもので、16問を15分で解きますが、採点には一切影響ありませんので気楽にやりましょう。
1615分

語彙は ネイティブ生にもかなり難しい内容ですが、算数は高得点が狙いやすいと思います。問題文はもちろん英語で時間制限もありますので、パターンに慣れるためにも過去問に取り組むのが効果的な対策です。数年後の受験をめざして早めの準備に取り組みたい場合は、ミドルレベルのSSATを受験して慣れておくのもお勧めです。出願まで1年を切っている場合は、アッパーレベルのスコアアップに向けて今すぐ対策をはじめましょう。

SSAT配点とスコア表

科目総問題数配点
Quantitative(算数)50800点
Reading(英文読解)40800点
Verbal(語彙)60800点

配点は各800点、合計2400点満点ですが、これは獲得した生の得点そのものではなく、開催テスト毎の難易度のばらつきを調整した後のものです。SSAT の場合、間違えた回答は減点されます(ISEEは減点されません)。正解はプラス1点、不正解はマイナス0.25点、回答を避けた場合はプラスマイナス0点で Row Score と言われる生の得点がまず計算されます。例えば下記の例を見てください。

例1:算数で50問中40問正解で10問間違えた場合、生の得点は (1x 40 – 0.25 x 10) = 37.5点

例2:算数で50問中40問正解で4問間違え6問回答を避けた場合、生の得点は(1 x 40 – 0.25×4)=39点

同じ正答数でも得点に違いが出てきます。語彙問題などで選択肢から消去法で絞り込みさえできないような場合は回答を避けるのも手ですが、正答するチャンスも失うことになります。そして、結果を評価する際の着目点はPercentile(受験者間での位置づけ)です。90 percentile というのは受験層(過去3年間で換算)のトップ10%(他の90%の受験者より上)にいるということになります。

SSAT受験方法

アメリカやカナダ在住であれば Home at SSAT といって自宅でオンライン受験できるのですが(もちろん監視付きですので他の受験方法と差はありません)、その他の国で受験する場合は、紙ベースかコンピューターベースかを選び開催会場で受けることになります。複数回受験できるので、下記のISEEの受験と合わせて事前にスケジュールを立てておきましょう。上記の配点方法にある通り、受験者間での立ち位置であるパーセンタイルが着目点になるので、自分がおおよそどのぐらいの位置にいるのか把握するために1度早い段階で受験し、形式に慣れかつ弱点を克服してから2回目を受けるというのがおすすめです。出願が近づくにつれて満席になりがちですので、2回目の予約もできるだけ早めに取っておくほうが安心です。

まずは、今日から具体的にSSAT対策を始めましょう。

ISEEのテスト内容とは?

ISEEは、Independent School Entrance Examの略で、プライマリーレベル(2,3,4)に加えローワー、ミドル、アッパーとレベルがあります。9年生(アメリカ高校1年)での入学を希望する場合、アッパーレベルの受験が必要です。テスト登録時に自分の学年をインプットすると適したレベルが自動で割り振られます。

Primary 2, 3, 4 グレード2,3,4
Lower Levelグレード5,6
Middle Levelグレード7,8
Upper Levelグレード9~12

ISEE試験内容

ISEE試験内容問題数時間
Verbal(語彙)
類義語や空欄に合う語彙を選択肢から選びます。
4020分
Quantitative(算数)
下記の算数パートと合わせてMathのスコアとして計算されます。
3735分
Reading(英文読解)
英文読解です。主題は何か、推察されることは何か、など選択肢から正しいものを選びます。
3635分
Mathematics Achievement(算数)
同上
4740分
Essay
題目が1つ与えられます。採点はされません。
130分
公式ページより(問題数には多少の変動あり)

試験科目・内容はSSATとかなり似ています。算数のパートが同じく2つに分かれていますが、別々のスコアとして換算される点SSATより算数の難易度が高い点などを考えると、算数が得意な生徒はISEEの方が向いているともいえますが、下記のシーズン毎に1回しか受験できません。出願締め切りが冬シーズンだとすると、Fallに1回、Winterの早い時期に1回となるでしょう。

ISEEについても、パターンに慣れるためにも過去問に取り組むのが効果的な対策です。数年後の受験をめざして早めの準備に取り組みたい場合は、ミドルレベルのISEEを受験して慣れておくのもお勧めです。出願まで1年を切っている場合は、アッパーレベルのスコアアップに向けて今すぐ過去問に取り組んでいきましょう。

ISEE配点とスコア表

科目問題数配点
Verbal Reasoning(語彙)40940点
Reading(英文読解)36940点
Quantative (算数)37940点
Mathematics Achievement (算数)47940点

前述の通り、算数は別々のスコアとして換算されます。間違えた回答は減点されませんので、SSATと違いとにかく全問回答するのがベストと言えます。

ISEE受験方法

こちらも同様に、日本で受験する場合はテスト開催会場で受けることになります。満席になる前に早めにスケジュールを立てておきましょう。

SSATとISEE、どちらを選ぶべきか?

さて、SSATとISEE、どちらを選ぶべきか迷う方もいらっしゃると思います。前述の通り、算数が得意ならISEEの方が向いているかもしれません。ISEEの算数対策をしておけばSSATの算数はおおむねカバーできます。逆に語彙はSSATの方が難しい傾向にあります。トップ校を狙い、かつ準備期間が長く取れるなら、ISEEの算数対策をしながらSSATの語彙対策をするという手があります。しかし、SSATの語彙はネイティブ生にも難しいですし、得点をあげるのに時間がかかります。SSATもISEEも両方早い段階で1度受けてみて、2回目をどうするか決めるというのが得策だと思います。算数が得意だと思っていてもSSATの方が全般的に好成績が取れたという事もあります。また、相対評価なので、回数を重ねれば重ねるほどパーセンタイルが上がるかといえば一概にそうとも言えません。実際、お試しのつもりで夏の早い時期に受けた結果が一番良かったのでそれを提出したという事もあります。

いずれにしても、思い立った今日から対策を始めるのがベストです。奇抜な内容のテストではないので、対策のための学習がそのまま力になります。将来的に出願を考えている小中学生も、このテスト対策は英語力の向上のみならず算数の良い学習にもなりますので非常におすすめです。エレメンタリー、ミドル、アッパーと段階を踏んで学習を進めていけばかなりの高得点を狙う事ができるでしょう。

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