ボーディングスクールに興味を抱く
我が家の場合、ボーディングスクールに興味を持ち始めたのは13歳ごろ(米8年生がスタートする夏)と決して早くはありません。家系代々ボーディングスクール出身という家庭はもちろん、特に東海岸に住む教育熱心な家庭は、幼少期からボーディングスクール受験を視野に入れていることもあるそうです。のんびりした西海岸にいた我が家は中高一貫校にいたので、そのまま高校に持ち上げる事が出来たのですが、ボーディングスクールの教育環境(学業はもちろんスポーツ・音楽、ボランティア活動などの課外活動を通して世界で活躍できる人材を育てるという教育方針と素晴らしい施設・教育陣)に興味を持ち始めました。
我が家は在米ですが、日本在住で高校留学をしたいとお考えの方の参考になるように、順を追って受験記を記しておきたいと思います。
我が家の場合、アメリカのボーディングスクール最難関校群テンスクールに属する学校のみを受験したのでその記録になりますが、おおむね同じようなプロセスだと思いますので参考にしてみてください。
学校訪問のスケジュールを組む
受験プロセスは夏ごろから始まります。(スケジュール全体はこちら) 興味を持った学校のウェブサイトの「アドミッション」のページを見てみると、夏ごろから学校訪問が出来る旨が書いてあります。まずは百聞は一見に如かず、学校訪問です。アドミッションのページにオンラインで自分のプロフィール登録をするフォームがありますので、そちらにインプットすると学校訪問の案内はもちろん、その後の様々な情報がメールで送られてきます。まずはそちらに記入しましょう。送られてきたメールに学校訪問の予約方法が記載されています。我が家の場合は、ボストンから車で回れるエリアの学校をいくつかリストアップして訪問のスケジュールを組みました。ボーディングスクールは郊外にあることが多いので、移動時間も含め午前中に1校、午後に1校、1日に2校が妥当だと思います。
学校訪問は約1時間
学校訪問はキャンパスツアーが1時間、インタビューも合わせて申し込むとツアーの後30分~45分ほどのインタビューに呼ばれます。
- 学校の受付で申し込み時の名前を伝えてチェックイン
- ツアー担当の学生さんがやってきてツアー開始
学校によって、1ファミリーだけか、数組のファミリーと一緒か、両パターンありました。比較的複数組で回るパターンの方が多かったです。
まず、受付で度肝を抜かれたのがD校。応接間?!
200年の歴史を感じます。この学校は授業中はジャケット着用のルールがあり、食事もダイニングホールで着席(指定席)形式と厳かな校風です。食事中のマナーや会話の仕方等についても学ぶことが出来そうです。将来仕事の場や社交の場で非常に役に立つことでしょう。こうした校風を堅苦しいと感じる生徒さんは出願しないという選択につながるでしょうし、肌で感じることは大切だと思います。うちの息子は、昔ながらのボーディングスクールの格式には乗り気で、立地が静かな郊外にあることも気に入っていました。
キャンパスツアーは、現役の高校生が、授業棟、スポーツ施設、食堂、寮、図書館など豪華な施設を次々と周りながら説明してくれます。キャンパスを回っている間は質問のチャンスです。どうしてその学校を受けたのか、他の学校と比べてどうか、困っていることはないか、一番素晴らしいと思う事は何か等、何でも聞いて大丈夫です。ただ、親御さんではなくお子さんが主体的に質問する方がよいと思います。聞きたい事は山ほどあると思いますので、ぜひ質問事項をたくさん用意していってください。ある学校でツアーガイドの学生さんの体格があまりにも良かったので、何かスポーツをやってるのか聞いてみると、案の定アメフト選手でした。きっと食事もトレーニングも彼にとってプライオリティは非常に高いだろうと思い、食堂のメニューはどうか聞いてみると、色々種類があって美味しいし、プロテインは寮の冷蔵庫に入れて毎日飲んでいる、という事でした。紹介ビデオ等が You Tubeにもたくさんあるので見てみるとより一層興味を抱くと思いますが、女の生徒さんは、朝食はバナナベリーミックスジュースにパンケーキにヨーグルトに、とおしゃれに盛り付けて楽しんでいるようでした。
うちにいるよりよっぽどバラエティーに富んだ食事が出来そう(笑)
豪華な設備
キャンパスは広大な土地に芝生の緑が映え、大学のような、もしくはそれ以上の豪華さです。
音楽ホールも素晴らしい音響のようですが、音楽はからきしでスポーツ(野球)派の息子はアスレチック施設を色々と見せていただき、その充実さに驚いていました。トレーニングジムもプールも素晴らしく、さらにスカッシュコートなんて民間のスポーツ施設をしのぐ充実具合。
今学校への行き帰りに結構時間を取られていますが、こうした施設が敷地内にあってすぐに使えるのが魅力的です。
教室の様子も見せていただきましたが、ハークネスという先生1人と生徒12人ほどで丸テーブルを囲みながらディスカッション形式の授業をするところが多く、我が家はこれに非常に魅力を感じました。修士・博士課程まで取った先生が少人数で直々に指導してくれ、しかも世界中から集まった生徒同士の意見交換を促す授業環境。暗記するだけの授業ではなく、知的好奇心をはぐくむ授業。
高校生の時期にそのような授業を受けられたら、学問に対する意識が変わり一生の財産になることでしょう。
ボーディングスクールは卓越した教育環境だというのは、学校のホームページなどから想像はしていましたが、やはり百聞は一見に如かずです。世界中の生徒を惹きつけている魅力を実感することが出来ました。こうした経験は、子供自身がこれからアプリケーションプロセスをこなしていくにあたり、「この学校に通いたい!」という強いモチベーションを与えることになります。
なお、学校訪問をした学校としていない学校、どちらも合格しましたので、訪問の有無は合否に関係はありません。ただ、前述のとおり「なぜその学校に行きたいのか?」を考える良い機会になりますので、スケジュールの都合がつく限り訪問をお勧めします。ウェブサイトや紹介ビデオだけでは分からない肌で感じる雰囲気と、学校周辺の街の様子などもとても参考になります。学校訪問は夏以降もたくさん開催されていますので、早めの予約がお勧めです。
また、日本からだとなかなか都合がつかないというご家庭は、合格後に学校を訪問するチャンスもあります。合格者向けに学校紹介イベントがありますので、その時に雰囲気を肌で感じて決める、ということも可能です。