アメリカで人気、ホームスクールの始め方を徹底解説

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アメリカでは3.7 million がホームスクール生

アメリカでは珍しくないホームスクール。全米で3.7 millionもホームスクール生がいるそうです。進化論を認めていないキリスト教の福音派(エヴァンジェリカル・クリスチャン)が、自分たちの信仰と矛盾した勉強をさせられるのを避けるためにホームスクーリングを選んでいた時代から、昨今は特にパンデミックを経て、公的機関・学校区と協力しながら、よりよい教育の機会を与えるべく、ホームスクーリングも多様化しています。

あるリサーチによると

  • ホームスクール生は就学人口の6-7%を占める
  • ホームスクール生は修学度テストで15-30%高いスコアを取る

といったデータもあるようです。学校での銃撃事件なども後を絶たないことから、安全上の理由でホームスクールを選ぶ保護者が多いというのもアメリカならではの理由です。

アメリカで盛んなホームスクール。学校になじめないから、というよりも、子供の個性・信仰・目標にあった教育を求めてホームスクールをする家庭が多いようです。今日は、ホームスクールを始めるための一連の流れをまとめてみたいと思います。

どのような形態のホームスクールにするか

ホームスクールと言っても、様々な形態があります。

  • 自宅で親が勉強をサポートする形
  • PE(体育)や音楽などの授業のみ学校へ受けに行く形
  • ホームスクールプログラムを提供する学校に転校する形

私はホームスクールと言えば一つ目の形態しか知らなかったのですが、調べてみたらいろいろなやり方があることが分かりました。一つ一つ詳しくみていきましょう。

自宅で親が勉強をサポートする形

これが一番最初にイメージする「ホームスクール」の形態だと思います。

このようなホームスクールを開始する場合(カリフォルニア州のケース)、Private School Affidavit という書類を州の教育省に提出する必要があります。要は、自分の自宅を「スクール」として申請するのです。

何だか難しそうですが・・・実は難しいことはないのです!

カリフォルニア州のDepartment of Educationのウェブサイトから、この書類をオンラインで提出できます。

記載すべき内容は、スクールの場所(自宅住所)、生徒の数(一人でも可)、先生や校長先生の名前(自分やご主人等)など基本的な事柄を埋めるだけでOKなのです。

教師の資格は不要なので、ご自身やご主人の名前を先生や校長先生の欄に記載すれば大丈夫。子供に適切な指導が出来る学力を持つ方なら問題ありません。

学校(ホームスクール)を運営するにあたって、管理が必要な書類は「出席簿」のみ

実施するカリキュラムや授業の時間割などの提出は不要なのです。びっくりするほど簡単ですね~♪

ただ、逆を言えば、どこまでもルーズになってしまうリスクがあるので、この形態でホームスクールをする場合、自己管理が大切です。

体育や音楽などの授業だけ学校へ受けに行く形

これは学区によって受け入れ態勢が異なるので、ご自身の学校区に問い合わせてみてください。

ホームスクールのデメリットとして友達との関わりが少なくなってしまう点がありますが、それを補いたい方には有効な、いわゆるハイブリッド形態ですね。ただ、その時間だけ学校に連れていき、また連れて帰ってくるという手間がかかりますが・・・。

ホームスクールプログラムを提供する学校へ転校する形

我が家が行ったのはこの形態です。

ホームスクール初心者の私としては、100%自宅でホームスクールをするには不安がありましたが、このようにホームスクールプログラムを提供してくれる学校があることを知って、それならば、とホームスクールを開始することにしたのです。

例えばカリフォルニア州であれば、州の教育省(https://www.cde.ca.gov/)のウェブサイトに様々な情報が載っており、このようなホームスクールプログラムを提供する学校のリストもあります。下記はロサンゼルス郡にあるチャータースクールのリストです。

チャータースクールとは、新しいタイプの公立校で、特別な目的(理数系の強化など)を掲げ公的機関からの認可・資金提供を受けて設立されている学校のことです。

アメリカでは昨今このチャータースクールが増加しています。

公立なので授業料が無料の上、理数系を強化するなどで一般の公立校よりも学力が高い学校が多く人気なのです。学業のみならず、アスリート向けのチャータースクールもどんどん出来てきています。授業は朝8時~午後1時まで、宿題はなし、午後は学校または学外でスポーツに励む、というような具合です。

こうしたチャータースクールの中に、ホームスクールプログラムを提供する学校あります。

上記のリストの中でピンク色の学校はホームスクールプログラム(インディペンデントスタディ)を提供しています。

私は、このリストをもとに各学校の提供するプログラムを細かく調べてみて、我が家が求めるものに一番近い学校を選び、以下のような手順で転校しました。

ホームスクール開始の手順

STEP
希望の学校のウェブサイトから入学申請(エンロールメント)を行う
STEP
必要書類(出生証明、前年の成績、現住所証明等)を提出する
STEP
手続き完了の通知(2週間ほどかかりました)を受領
STEP
通学校に転校の旨を連絡、転校届の提出

転校届はあっさりしたもので、1枚の紙に転校の理由や転校日をちょこっと記載するのみ、転校先の学校名については記載不要でした。

こうして思い立ってから1ヶ月ほどで手続きを済ませ、息子は晴れてホームスクーラーとなりました。我が家のホームスクールの様子については、おいおい記事に書いていきたいと思います。

多様化するホームスクールの形態の中で、我が家が始めたホームスクールは、ホームスクールプログラムを提供する公立学校(チャータースクール)に在籍しながら自宅で学習するという形態です。

ホームスクールをするとお金がもらえちゃう?!

アメリカのホームスクールの仕組みをリサーチし始めて一番驚いたことは、なんとこの形態の場合

生徒一人につき年間数千ドルの教育資金を割り当ててもらえる

という事実です。。夏休みや冬休みなどを除いて学校のある期間が9カ月程度と考えると、月3万円ほどの教育資金になります。この資金を使ってオンラインの授業や教材などを購入しホームスクールが出来る、というわけです。

唯一の制限は「学校の指定した業者が提供する授業や教材のみに適用される資金」という点です。

学校が指定していない業者の授業や教材を使って勉強をすることはもちろんOKですが、その場合は自己負担になります。

学校指定の業者には、有名どころのオンラインクラス提供会社や、なんと体育用に大手スポーツクラブまでリストされています。

アマゾンで本を買うこともOKです。

理科の実験キットを販売する業者もリストに入っていますし、オンライン授業は月20ドルで全教科見放題のものもあるので、3万円あれば一通りのカリキュラムは組めます。

ホームスクールは、基本的に自己負担でやるものだと思っていたのでびっくりです!

我が家はこのしくみを利用してカリキュラムを組み始めました。

カリキュラムはどう組むの?

ホームスクールをする場合、うれしいのはその「自由度」の高さ。

勉強を始める時間も終わりの時間も、お休みの日も、すべて好きに決める事ができます。平日にガラガラの動物園や水族館に行ったり、博物館で勉強したり、旅行だっていつでも行けちゃいます。

だからこそ、ルーズにならないように、しっかりカリキュラムを組んでおきたいところです。

このままホークスクールの道を迷わず進む!という家庭は、その子の個性に合わせて自由に教育することができますが、今後どこかの段階で学校に戻ることを考えているならば、学校で学ぶ科目は原則カバーしておきたいところです。

アメリカの小学生の科目と言えば、英語、算数、理科、社会

これらに加えてPE(体育)が隔日、音楽(高学年から)が週に1回か2回あるのが一般的です。ホームスクールをやる場合、上記の4教科に加えてPE体育)を週に2時間はやるように推奨されています。音楽については特に言及されていません。

では具体的にどのようなカリキュラムを組んでいけばよいのでしょうか?

教科ごとにカリキュラムを組むのは大変!という場合は、

全授業をオンラインで提供する学校に在籍する!

という手っ取り早い方法があります。各学年で学ぶべき内容がカバーされています。ただし、学校がそのまま家庭に来るようなイメージで、教師向けマニュアルのようなもの(授業ごとの目的、進め方、説明の仕方等)がどさっと自宅に届き、親がそれを読み、その指導のもとオンライン授業をスケジュール通りにこなしていく、というイメージのようです。我が家は採用していないので実際のところは分からないのですが、これでは親の負担が大きすぎるのでは?と思い採用しないことにしました。

さらに多くの場合、例えば算数は6年生、英語は4年生といったようにホームスクールならではの、子供の得意不得意にあわせた柔軟な対応が出来ないので、我が家のホームスクールの目的には合いそうもありませんでした。

そこで、我が家では、教科ごとに柔軟に授業を選択できる学校に在籍する事にしました。

カリフォルニア州の教育省のHPに載っている学校リストの学校ごとのHPを見て、一括オンライン授業ではないプログラムを提供している学校を探しました。この学校選びが一番面倒だったといえば面倒でしたが、様々な学校があることを知る良い機会になりました。

では、柔軟にカリキュラムを組めるようにした我が家のケースを参考に、教科ごとにご紹介したいと思います。

Language Arts (英語)のカリキュラム

いわゆる「国語」ですね。アメリカなのでもちろん「英語」ですが。 EnglishとはいわずにLanguage Artsといいます。「国語」なら教えられるのですが、英語となると無理なので、有名どころのプログラムを購入することにしました。

Time4Learning というオンラインプログラムです。ホームスクール生に限らず誰でも購入できます。月20ドルほどで複数教科のレッスンが見放題なので、かなりお得です。ビデオ講座が多いので、日本に子供たちが英語の勉強がてら受講するのにも使えると思います。ネイティブ生に追いつきたいVocabularyに関しては、我が家で今一番効果的かつ楽しんでいるのが新聞を読むこと。読めそうな記事のみ選んで読んでいます。内容があまり理解できないとしても、続けていけば、点と点がつながってくるでしょう、ぐらいの軽い取り組みです。

Math(算数)のカリキュラム

これもTime4Learningの月額費用でカバーできます。我が家の息子は算数が好きで、ホームスクールを始める前から自宅でKhan Academyのビデオ講座を見ながら先取り学習を進めていたので、ホームスクールになってもKhan をメインに、Time4Learning をサブに利用しています。Khan Academyはご存知の方もいると思いますが、完全無料のビデオ講座です。無料でありながら質が高いので、我が家ではかなり活用させてもらっています。

そこでコンセプトや解き方を学んでから、市販の問題集も少し解いたり、パズル的なものをやったりしながら、算数はほぼ毎日やっています。

Science (理科)のカリキュラム

日本の小学校と違ってアメリカの小学校ではScienceはあまり体系立てて学習していない気がします。教科書に沿って順に勉強していくわけではなく、時々実験をしたり観察をしたりする程度です。ホームスクールで理科をやる場合は、カリキュラムに沿ってしっかりというよりは、興味を持ったことを調べたり実験したりするだけでも十分だと考えました。

我が家の場合は、Time4Learningの講座を時々見ながら、面白そうな実験をしたり、ビーチに行ってヤドカリを捕まえたり、庭でお花を観察したり…。小学生のうちは教科書ではなく実体験から学ぶことを大事にしていきたいと思います。こんな実験セットも割り当て費を使ってAmazonで購入できます。

Social Study (社会)のカリキュラム

社会についても理科同様です。カリフォルニアでは、4年生で自分が住むカリフォルニア州について勉強し、5年生でアメリカの州名や州都を勉強したりするのが一般的です。そのあたりをざっくりカバーするには、図書館へ行って自分の州に関する本を読んだり、ウェブで調べたりしてそれをまとめる(できればプレゼンまで)練習などを楽しくできればいいかと思います。中学生になると歴史が始まるので、おいおいビデオ講座で歴史を勉強できるようなものを探してみる予定です。

州名・州都の勉強については、私も地理に疎いのでこんな感じで(↓)壁に貼った地図で一緒に勉強していますが、なかなか覚えられません!記憶力の退化が激しいです(笑)。

先日は近所の博物館に行ってちょっとしたレポートもどきを書く練習などもしました。

体育(PE)

我が家はトラベルチームの野球の練習だけでずいぶんと運動をしているので、特段PE時間は設けていません。時々午前中に近所を親子でお散歩している方がいます。お子さんは就学年齢なので、ホームスクール生の朝の運動かな。

音楽

これは我が家はやっていません。何かしら楽器を、とは思いますが、音楽に疎く腰が重いです。

このように、各科目とも自由度が非常に高いです。所属している学校にワークを提出する頻度などが決まっていますが、それほど頻繁でもなく、担当の先生とのオンライン面談も学期中に1回程度、もちろん希望すればもっと頻繁にできます。この担当の先生がとても良い方で、はじめてのホームスクールにも戸惑う事なくサポートしていただいていますし、よいペースメーカーとなっていただいています。

今後、色々と楽しんでいけそうです。

ただ、友達との関りがもっとも大事な思春期には学校に戻ることを念頭に置いています。

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